[ニュースカルチャー] 生成AIの急速な普及によって、著作権をめぐる議論は「作品を誰が作ったのか」だけでは整理できない段階に入っている。既存の文章や画像、音楽、映像をAIの学習にどこまで利用できるのか。AIが生み出したコンテンツに権利を認める場合、人間の創作的関与をどの程度求めるのか。さらに、クリエイターとAI事業者の責任や利益をどう配分するのかも大きな課題となっている。
こうした生成AI時代の著作権政策をめぐり、韓国と日本がそれぞれの制度整備や実務経験を共有した。
韓国文化体育観光部と日本の文部科学省は9月9、10の両日、ソウルで「2026韓日著作権政府間会議・セミナー」を開催した。初日の政府間会議ではAIと著作権を中心に両国の政策動向を確認し、翌日のセミナーではオンライン上の著作権侵害への対応や著作権管理事業について実務レベルの意見交換を行った。
今回の議論で焦点となったのは、生成AIの「学習」と「生成」という二つの段階だ。
まず学習段階では、AI開発企業がインターネット上などで公開された大量の著作物を学習データとして利用する行為を、著作権法上どのように位置づけるかが問題となる。権利者の許諾や対価なしに利用できる範囲をどこまで認めるのか、利用条件をどのように設定するのか、クリエイターが自らの作品をAI学習の対象から除外する意思をどう示せるようにするのかなど、制度設計には多くの論点が残る。
生成されたコンテンツについても明確な線引きは容易ではない。人間がどの程度創作過程に関われば著作物として保護されるのか、既存作品と似た生成物が作られた場合に著作権侵害をどう判断するのかが代表的な問題だ。
さらに、特定の画家の作風や歌手の声をAIで再現するケースのように、著作権だけでは処理しきれない領域も広がっている。韓国文化体育観光部はAI関連の著作権登録、利用、保護制度に加え、AIカバー曲やディープフェイクなどによって生じる人格権やその他の権利問題についても制度整備を進めている。
韓国側は今回、これまで進めてきたAI著作権政策の検討状況を日本側に紹介した。文化体育観光部が運営してきた「AI・著作権法制度改善協議体」の議論や関連ガイドラインにも日本側から関心が寄せられたという。両国は2027年の政府間会議でも、AIと著作権を主要議題として継続的に協議する方針だ。
韓国政府は2027年、公的著作物をAI学習データとして開放する事業の予算を2026年比で3倍に拡大する計画だ。また、「AI著作権信頼ガバナンス技術開発」の研究開発予算として31億ウォンを新たに編成する予定としている。
AIだけでなく、デジタル環境で拡大する著作権侵害への対応も重要なテーマとなった。
韓国側は韓国著作権保護院が運用する「著作権侵害総合対応システム」にAIを活用している事例を紹介した。オンライン上の侵害コンテンツを発見し、削除要請へつなげるまでの実務ノウハウも共有した。日本側は、2024年の韓日セミナーで同システムを知ったことをきっかけに、日本国内で類似制度を導入するための予算を確保したと説明した。
こうした協力は近年始まったものではない。韓国と日本は2006年から著作権政策に関する実務協議を続け、2009年には産業界や学界も参加する「韓日著作権フォーラム」を開始。2011年には「韓日著作権交流・協力に関する覚書」を締結し、両国政府が政策情報の共有や人的交流を進める枠組みを整えた。
音楽著作権の管理も今回の協議対象となった。日本側は韓国音楽著作権協会を訪問し、著作権使用料の徴収・分配システムを視察。演奏権使用料の徴収基準や運用方法について意見を交わした。
両国は、著作権管理団体による相互管理契約をより効率的に運用し、国境を越えて利用される音楽作品の使用料徴収や分配の透明性を高める方法についても議論した。
デジタルコンテンツは国境を容易に越え、生成AIの学習に使われるデータも一つの国だけで完結しない。AI学習に利用できる著作物の範囲、クリエイターへの対価、AI生成物の権利性といった問題は、各国が独自制度を整えるだけでは解決が難しい。
韓国と日本はいずれも自国のコンテンツが海外で広く流通する市場を抱える。生成AIの拡大によって著作権をめぐる境界線がさらに曖昧になるなか、オンライン侵害への共同対応と制度情報の共有は、両国の著作権協力において一段と重要な領域になりそうだ。
ニュースカルチャー M.J._mj94070777@nc.press
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